「ッ・・・」
浅く、深く、息を求めている私。
未だに忙しない呼吸は、行為の激しさを体現していて。
宥めようとも、湧き上がる熱とシルシが阻んでいく。
そんな身体を辛いと感じつつも、心は浮き足立っていた。
それはきっと、グッと引き寄せる腕のせい・・・
あれから…、何度果てていたのだろう。
受け止めるコトに必死で、それさえ覚えてイナイ。
それほど濃密で、トキを忘れさせるモノだった。
拓海にすべてをなぞられ、弄られて・・・
何も考えられず、すべてが葬り去られていたほどで。
“素”の自分でいられるコトの尊さを、改めて学べたと思う。
でも本当は…、想いとは裏腹の恐怖が両立していた。
今までからは信じ難い、この進展が怖い――
私の現状は、瀬戸際に立たされているようなモノで。
互いの婚約者の件がありながら、幸せを噛み締めてはいられない。
齎される代償に屈しておきながら、都合が良すぎる。
思いは実るのか、はたまた萎れてしまうのか――
またしても、負の考えを巡らせているなんて。
貴方には何も、言えないけれど・・・