成績優秀なんて言葉すら、拓海には当て嵌まらない。
敢えて言うのなら、神童の方がピッタリだろう。
だから比べるコト自体、おかしいけれど・・・
「そんなことないだろ?
合格できたのは、蘭の成果だよ。
というより、隠し事されると寂しいな・・・?」
そう諭されたあと、クスッと一笑する声が聞こえた。
「っ・・・」
この鼓動の高鳴りは、どうすれば良いの…?
ギュッ――
自然と受話器を握り締める手に、力を入れてしまう。
「そういう訳で、蘭の就職先は決まり!
俺が帰国したら、宜しくな――?」
「え、でも・・・」
「それじゃあ――」
矢継ぎ早に締め括られて、途切れてしまった通話。
そのトキ感じた、一生交わるコトのない道へと誘うような・・・。
アノ虚しい通話終了の機械音は、今もフッと思い出されるの。
それに私には、異を唱えるコトなど許されなかった。
私はすべて、彼の言いなりだから―――