今まで堪えていた分、ギュッと強くしがみ付く。


どんなに抱かれようとも、自ら縋れなくて。


どんなに好きであっても、伝えられなかった。



「ッ…、好き・・・」


だからこそ、飽和状態の想いを我慢など出来ナイ。


貴方のキモチを教えられた、今はもう・・・



「ホント…、昔から頑固だよな?」

フッと一笑したあとで届いた、爽やかな声。


「っ・・・」


ゲーム抜きで返してくれるのは、いつ以来かな?


嬉しすぎて、涙と想いがまた募っていく。



甘い、甘い、ホワイトムスクの香りを確かめる。


温かくて厚い、貴方の胸に寄り添い、確かめる。


髪を撫でてくれる、その手の大きさを感じ取る。



これらすべてが拓海だと、何度も・・・



秘密のトキから齎された、二度とナイ幸せだよ。


貴方の秘書で…、幼馴染みで良かったと、改めて思えたの。


佐々木の娘で良かったと、思えたのも初めてで。



「ありがと・・・」


身を寄せる度に、ドクンと共鳴する鼓動に嬉しさを感じつつ。


思い浮かぶ限りの言葉を、ゆっくりと紡いで伝えた。