重なり合った身体で、互いの体温を分け合いながらも。
何処までも通じない心は、急速に凍てついていく。
この先を暗示するように、頭上から下方へと向かう視線。
虚無になれる方が、どれだけ楽だろう・・・
「幸せに・・・か――
さっきの言葉の意味、分かってないだろ?」
「っ・・・」
それは違う…、私だってコドモじゃナイ。
諦めグセのついた、オトナへ変化してるから――
クイッ――
頬を撫でていた彼の手が顎を捉えて、私は頭上を向かされた。
鋭い眼差しが、さらに涙を誘っていく。
「蘭が後藤さんを好きなら、それは致し方ない。
だが…違うなら、結婚を止めて欲しい。
今の俺の気持ちを、告げる事は出来ないが。
あの言葉は、ギリギリのボーダーラインだ…」
「ッ――!」
冷静でありつつも、どこか苦しみを滲ませた声色。
思いも寄らぬ言葉が、私の感情を一気に掻き乱す。
「分かったか…?」
本当に…、我慢しなくても良い――?
どれほど抗って離れようとも、諦めの悪さは備えていて。
コクコク頷きつつ、彼の胸へと縋りついた・・・