その言葉で頭上を仰ぎ見ると、頬をツーと涙が伝い落ちた。


絡み合う視線を外さず、ブラウンの瞳をジッと見続ける私。



拓海の気持ちは、私にしかナイ・・・?



「っ・・・」


ズルイよ、何でこんなトキに言うの――?


私はずっと、拓海を好きだったのに・・・


そう伝えられたら、どれだけ良いか。



だけれど…、卑しい期待を抱くなんて浅薄だよ。


フルフルと頭を振って、邪な考えを断ち切る外ナイ。




「拓海・・・?」


「やっと話す気になった?」


名前を呼ぶと、軽く一笑して指で涙を拭ってくれた。



「っ・・・」


そっと頬に置かれた手に、このまま縋りたい。


貴方への愛だけが、さらに漲ってしまうなんて。



所詮、もうすぐ醒める夢なのに・・・




「幸せ・・になって――」


「蘭・・・?」


一瞬戸惑いを見せてくれただけで、もう十分だよ。



貴方の望みを叶えると、破滅への第一歩になるから。


何も言えない、離れなきゃダメ、本当にゴメンね・・・