本心じゃないって…、どうしてバレているの?
太刀打ちなど恐れ多いけれど、出来るコトはひとつだけ・・・
「っ…、ちが・・う――
私の本心に…決まってるじゃない!」
ウソを吐こうとするあまり、口調が戻ってしまった。
先ほどの言葉が秘書としての鎧を、いとも容易く剥がすから。
「違うって言うなら、どうして抱かれようとした?」
「っ…、それは――!」
「どうして、蘭からキスをしてきた?
それに、未だに泣いている理由はなんだ?」
どんどん追い詰めるように、次々に投げ掛けてきて。
覆い被されて触れる箇所と、掴まれた手首が熱い。
「蘭はずっと、俺のモノだろう?」
「っ・・・」
グッと言葉に詰まり、僅かに出来た“間(ま)”。
漂うホワイトムスクの香りが、酷く私を酔わせていく。
「っ…、っ・・ダメなの・・」
すべての問いが、反論を肯定へと変えるのに。
決死の覚悟で、一世一代のウソをついたのに。
貴方の挙動が、すべてを消し去ってしまう――
「全部吐き出せ…」
「ッ――!」
ギュッ――
この香りと腕に包まれたら、もう隠せない・・・