答えを求められると、黙り込んでいながら。


相手が導き出そうとすると、それを封じてしまう。


どこまでも私は、ズルイ人間なのだろう――




「っ…、・・・っ・・」

出てしまいそうな本心を、必死で堪えた。


どこまでも浅薄で、往生際の悪い人間だよね?



グラグラ揺れる視界はまるで、私の進む道のように思える。


いっそこのまま、地盤沈下をしてしまえたら楽だろう。


…なんて、前から少しずつ地殻変動が起きていたのにね?


そんな考えにも、フッと嘲るコトすら出来ないよ――




「…っ、社長…離して頂けますか?」

零れる涙を諦めて、ぼやけた状態のまま言い放った。


秘密の部屋であろうとも関係を絶った今は、ただの秘書だから。



晒されたままの身体と、掴まれたままの両手首。


これが離れたトキ、本当にすべての終焉を迎えるの。


最後にもう一度だけ…、抱いて欲しかった・・・



こうして流れる沈黙でさえ、縋ろうとする私を逃がして下さい。




「・・・イヤだね。

さっきのは、蘭の本心ではないだろ?」


「っ――!」


どうして・・・・?