まだ…、ううん・・・


ずっと、ずっと、好きなのに・・・




「っく・・・ひっ・・」


湧き上がって止まらない、涙と悲しみ。


溢れ出して止まらない、社長へのキモチ。



幾ら手で覆ってみても、それではカバーし切れない。




固く鍵を掛けた、パンドラの箱が壊れていく――



どうするコトも出来ずに、ただ泣いていると・・・




「蘭…、顔上げろ――」


「っ・・・!」


近くで響く爽やかな声に、思わず肩がビクンと跳ねた。


絨毯の沈む音が近づこうとも、顔を覆って遮る私。




「蘭・・・?」

「ッ・・・」


どうして今になって、優しく呼び掛けるの?


私の存在なんて、貴方にとって皆無でしょう?



「っ…、や・・です・・」


この期に及んで、“イラナイ”と言われれば。



後藤社長の許でも、生きていけないのに・・・