「社長…、お願いですから・・・」
無能だし、役にも立ってイナイと思う。
それでも私はまだ、貴方の秘書なの・・・
交わる視線を逸らさず、必死に訴えていた。
すると、そんな願いを打ち切るように一笑される。
「蘭…、オマエは秘書だろう?」
「…っ、あの・・・?」
不敵な笑みとは対照的に、鋭く眼光を光らせていて。
「俺は“キャンセルしろ”と、オマエに指示したんだ。
俺の時間は俺の物であって、指図される覚えは無い!
・・・分かったか?」
「っ――!!」
怒気を含んだ声色と、射るような視線に言葉を失った。
「いいな?」
「かしこまりました…」
その言葉は…、私の存在価値を消してしまうのに。
「っ・・・」
秘書としても、不要なのだと――
今までは我慢出来ていたのに、涙腺が崩壊してしまったの?
ツーと頬を伝うモノを、留められないよ・・・