足早に追いついた私は、必ず彼の一歩後ろをついて行く――




背が高い社長は、人よりも歩幅が大きい。



その姿を見ていると、颯爽という言葉は彼の為のよう。




一方の私は高ヒールで転ばないよう、急ぎめに歩く。



コツコツ響く音だけが、どこか虚しさを漂わせている。




だけれど、本当は気づいているの・・・




貴方が歩くスピードを、緩めてくれるコトに。




それでも私は、決して前へ出てはいけない――




もう二度と…、隣を歩くことが出来ない・・・




貴方の秘書となった、あのトキから――