だけど、それは儚い思いであって。
絶対に、叶うコトなどなければ。
絶対に、口にしてはならないの。
社長へ募るキモチと、一緒の末路だから――
ブラウンの瞳が判別出来ないほど、視界は歪んでいた。
それなのに・・・
「蘭・・・」
「ッ――」
どうして、そんな風に呼び掛けるの?
あの頃と同じ…、優しい声色で・・・
「っく・・ひっ・・・」
泣き顔を見られてしまったせいか。
社長の視線を遮るコトも、忘れ去っていた。
「すっ…、すみ・・せっ・・」
辛くて、切なくても、届かないのに・・・
すると社長の指が、スッと一滴をなぞった。
「もう、泣くな・・・
社長室まで我慢しろ――」
「っ――」
どうして・・・?