確信に迫られて、心臓が大きく波打った。
咄嗟に私は、右手をカバンの中へと突っ込んだ。
自分なりの防衛策なのか、それとも・・・
だけれど、この車が外車で良かったと思う。
右手薬指のリングを、再び晒されずに済むし。
手錠紛いのモノを、もう見せたくない――
この代償は、あまりにも大きすぎるの。
貴方まで、縛りつけられないよ・・・
「っ・・・」
この沈黙は、別離までの寸暇であって。
決して、好転などあり得ない時間――
だからこそ、しっかり目に焼きつけなきゃね?
今日の社長は、ミディアムグレイのストライプスーツ。
ネクタイは、ホワイトとグレイのストライプ。
整った顔立ちを、さらに引き立たせていて。
華やかでありつつ、洗練されている。
慣例のスタイルチェックも、今日が最後だね。
これからはコレも、婚約者のモノ・・・