涼やかな横顔を見せたまま、発せられた言葉。
それはあまりにも、信じ難いモノで・・・
「・・・あ、あの・・・?」
今…、何て言った――?
呟かれた言葉が、私の思考を混乱させてしまう。
ううん、きっと意味なんてナイ・・・
期待をするコト自体、おこがましいのに。
コチラを見ることなく、信号を眺めている社長。
対して私は、鼓動だけが早まっていく。
話を切り出さなければならないのに。
言葉の真意を探るコトが、先決な気がしてしまう。
でなきゃ、お別れも上手く言えない・・・
暫くの沈黙のあと、形の良い唇がゆっくりと開かれた。
「蘭・・・、相手は誰だ?」
「っ・・・!」
私の言葉を待たずして、既に話が飛躍している。
それほどこのリングには、効力があるの――?