一点に向けられる視線で、さらに追い詰められる。
未だに躊躇している私を、後ろから急かすようで。
ううん…、それ以上に苦しいのは・・・
艶めく大理石テーブルに置かれた、神々しく輝くモノ。
ベロア生地の上で輝きを放つ、それらの煌きなの――
「っ・・・」
コレの意味なんて、分かりきっている。
心が断固拒否しているのか、小刻みに手が震えて。
気づかれないよう、誰とも視線を交えずにいると・・・
「本来なら、先に用意しておくべきで・・・
俺としては、何事も“蘭の意見”を尊重したいけど。
どうしても、今日中に購入しておきたいんだ」
談笑していた後藤社長が、私にそう言ってきた。
「蘭、これはどうかな?
華奢だけど、カラットも大きいし」
「…っ、そ、そうですね・・・」
品定めをするように、ソレらを手にすると。
高貴な輝きとともに、さらにプレッシャーを掛けてくる。
別離を告げる社長への、見せしめであって・・・
私たちを引き裂く、金剛石でしかナイのに――