人前で思いに耽るなんて、危ない綱渡りなのに。
貴方の未来を、どこかで奪いかねないから――
そう自身に、言い聞かせていると・・・
「悪いけど、寄りたい所があるんだ。
このあと時間は大丈夫?」
「え…、は、はい。
後藤社長…、どちらまで?」
YESを返すと、動向を重ねて尋ねてみた。
「マサタカ!」
「っ、へ・・・?」
突拍子もナイ言葉に、声を上げると。
「俺の事はこれから、雅貴(マサタカ)!
俺は蘭の上司で無ければ、結婚相手だしね?」
「・・・っ」
言われてみれば、その通りで。
何も言えなくなってしまう・・・
「いいね・・・?」
「…ハイ、雅貴さ・・ん・・」
「まっ、取り敢えずそれで良いか」
呼び捨ては退けるので、さん付けにした。
これから事あるごとに、思い知らされるんだ。
社長との別離は、すぐそこまで迫っていると――