「悪くねぇよ。別に」






俺は視線をそらしながら、答える。





最近、調子が悪いことは、自分でも十分に承知していた。


速い球が投げられない。

コントロールが悪い。




相手にバカバカと、打たれてしまう。






「ったくさ、本当にプライド高いよなー??お前」







木村がふぅっとため息をついた。






「おいお前ら!!」







不意に、低い声がした。

少しどすの利いた、声。


俺と木村はほぼ同時に、振り返った。




グランドの向こう側、校舎側から、監督が歩いてくるのが見える。