「お前っ、何してんだよ!!」

普段の温厚な姿からは

想像できないほどの

怒声だった。

「離れろよっ!!」

櫻井に殴られ、

善彦は見事に

吹っ飛んだ。

「行けよ。

 通報されてぇのかよ。」

愛でさえ怯えてしまうほどの声色で

櫻井が言うと、

善彦はすごすごと退散した。

「愛ちゃん…?」

櫻井がそっとその身体に触れると、

愛はわずかに身を強張らせた。

「ごめん、守ってあげられなくて。

 ごめんな……っ。」

櫻井に抱きしめられ、

愛は安堵の笑みをこぼした。

「きてくれて、ありがと…。」

無理矢理に犯されかけた愛は、

ボロボロだった。

キレイに巻かれたはずの髪は

乱れ、ブラウスのボタンは

いくつか飛んでいた。

「帰ろう。」

そんな櫻井の言葉に頷くと、

愛は意識を飛ばした。