「嫌、嫌ぁあ…っ。」

もう、わけがわからなかった。

恐怖と、哀しみと、嫌悪…

全てが入り混じって、

愛はひたすら涙を流していた。

「う、ぅ…どうして…っ。」

はじめての善彦との行為が

こんなに乱暴なものになるなんて、

思いもしなかったはずだ。

無論、善彦だって

こんなことをしたいわけでは

なかった。

けれど、無理矢理にでも

奪わなければ

愛は他の男のものになる…

そんな気持ちに

板ばさみになって、

理性などとうに吹き飛んでいた。

「愛!!愛ちゃん!!!」

愛は朦朧としていた意識の中、

櫻井の声が聞こえたことで

はっ、と我に返った。

「悠くん!!」

しかし鍵が閉められていて、

ドアが開かないようだった。

愛は抵抗するも、

善彦はビクともしなかった。

「ゆう……く、」

愛が諦めかけたそのとき、

ガチャッという音とともに

櫻井が現れた。