翌朝、

日曜日だということもあり、

久しぶりに

ゆっくりできると

ルームウェアで

くつろいでいた愛の元に、

善彦から連絡が入った。

「……もしもし。」

『愛さんですか?

 昨日はすみません。

 あなたを一瞬でも

 疑ったのは、

 申し訳なかったと思います。

 だから、……

 距離を置くなんて

 いわないでください。』

あぁ、どうしてだろう。

昔はこんな謝罪1つで

安易に許してしまえたのに。

今はなんだか、

上辺だけの言葉にしか

聞こえない。

「お話があるんです。

 …今から会えますか?」

『…わかりました。』

「じゃぁ、2時に

 会社の近くにある

 公園で。」

それだけいうと、

愛は一方的に

電話を切った。

自分の薬指に輝く指輪を、

そっと撫でた。

もう、この可愛い指輪とも

お別れかな、と愛は思った。