「…うん」
気まずそうに受けとる桜香。

少し気になったがそのまま風呂場へ向かった。気まずそうにしている桜香を見るのは辛かった。



2万円。俊が自分を一晩買った金額。
今まで援助交際は何度もやってきた。
お金を貰うのは当たり前だと思っていた。
しかし、今日はお金を貰いたいとは思わなかった。
数時間前に初めて会ったばかりなのに、俊と一緒に居れるだけでもいいと感じている自分がいた。

食器を洗い終わってソファーに座ってそんなことを考えていると、俊が風呂から上がってきた。

「お前も風呂入れば?着替えとかないけど…デカいと思うけどスウェットならあるか」

そう言う俊は風呂上がりのせいかさっきより幼く見えた。

俊からスウェットを受け取り風呂場に向かう。

時間も時間だから、風呂からあがったら寝ることになるだろう。
そうなると、契約上、SEXをすることになる。
俊とそういう事をしたくない、というわけではない。
でも、もっと違う出会いかたをしていれば、と思う。
今までそんなこと思ったことなかったのに。

そんな考えを頭から振り払う。

仕方ない。
私にはお金も行く所もない。
桜香は自分に言い聞かせた。