「え…?」
「外見でしか人を判断しないヤツかどうか、試してたんだ――…」
試してた?
ニイトも?
あたしと同じことを、思ってたの…?
本物の"何か"を探してたの?
「けど菻榎は、ちゃんと"俺"を見てくれた。
冴えない、"藤咲"としての俺も見てくれた。
だから、俺はお前に……」
卑怯だ。
そんな切なそうな顔は反則だよ。
それに今は
本物のニイト。
恰好いい、モデルとしてのニイトがいる……。
あたしの胸の高鳴りは早まるばかり。
「でも俺はもう、騒がれることを避けられない。
今までの静かな生活はこれでおしまいだよ」
あ、そうか。
そうなんだ……
皆に正体がバレてしまった今、
ニイトはプライベートが無くなる。
「ゴメン、あたしのせいだ…」
「何言ってんの?
俺が勝手に動いただけだよ…。
それに、後悔なんてしてない。あの時マジでムカついたから」
「なんで?
なんでそこまでしてかばってくれたの?」
あたしなんかを、
あたしなんかの為に、
全てをバラした新斗の考えてる事がよく分からなかった。