恐る恐る後ろを振り返れば、
シュウが笑っている。


「気のせい。ちぃ、気のせいだぞ!疲れてるんだよ。」

独り言をつぶやきながら、スタスタ歩く。


「気のせいじゃ、ないよ。」


ぎゅっと、腕を捕まれた。


「やっ!」

腕を振りほどこうとしても、力が強くて振りほどけない。


「ヤダ、離して。」

「嫌だ。」


本気でこわいと思った。


「ど、どうして意地悪ばっかりするんですか!」


涙目になりながら、
私は、尋ねる。


「意地悪してるつもりはないよ」


ぱっと、手を離し

シュウは微笑む。



「じゃあ、なんで?」



「可愛いから。」



可愛いと、言い


シュウは、私を抱き寄せる。



「ちょっ!やだっ!」


心臓が有り得ないくらい、
ばくばくして

シュウに聞こえるんじゃないかと

恥ずかしく感じる。


「ちぃちゃん、あったかい。」


耳元で、
甘く囁くシュウの声に

胸が高鳴る。


「シュウ!」

「何?」


シュウは、


私をちからいっぱい抱きしめて




何度も
何度も

可愛いと甘く囁いた。