「じゃあ、エッチも?」



どうして、初対面なのに
こんな事まで聞くんだろう。


「パァーンっ」


鈍い音が部屋中に響き、

私は、手を押さえる。


初めて、人を平手打ちした。
凄い音がして、

なによりも、
心が痛かった。




「大嫌い。」


シュウの顔を見て、初めて話した一言。


シュウは、なぜか
悲しそうな顔をしていた。



「ごめん、先かぇる。」


ピンクの鞄を手に取り、
私はカラオケBOXを後にしていた。




携帯がすぐ鳴って
ディスプレイは、マナと表示する。

今は、マナと話せる気分じゃなかった。


思い出せば、
思い出すほど、苛立つ。


初対面なのに、
キスとか、エッチとか!

馬鹿にして。


庇ってくれた時は、イイヤツだとひそかに思ったのに。


「あー!むかつく」

「誰が?」


タイミング良く、声が聞こえ

「シュウが!」

「俺ね。」


空耳かと思いたかったけれど、空耳じゃない。


間違いなく、シュウの声がする。