『天塚 匡軌 27歳』
ハガキに書かれている名前を、呆然と見つめる。
確かに、彼はstar letterを書いていた。
―――でも
それはあたし宛てにじゃなく。
天塚さんは
ただ単に、アンケートに答えただけ。
ハガキが散らばった床に、ペタンと力なく座り込む。
あたしにstar letterを送っていたのは彼…天塚さんじゃなかった。
「…そんな―――っ、」
自分で真実を引き出したくせに、あたしの心はなかなかその現実を受け止めようとはしなかった。
反射的に頭を抱える。
知ってしまった真実に、頭の中が整理出来ない。
その時、ふと
2通目のstar letterが、真っ白になった脳裏に浮かび上がった。
――月明かりが美しい、夏の星座が僕は一番好きです。
『やっぱり、夏より冬の星の方が綺麗だよ。』
ゆっくりと顔を上げる。
…天塚さんじゃなかった。
彼じゃ、なかった。
それなら…、
――いつでも願う事は、一つ。
君が、幸せでありますように。
…あなたは?
あなたは、一体誰なの?