色とりどりのバラに
その周りを埋めるように敷き詰められたかすみ草。
至ってシンプルな花束だったけど、彼が慌てて用意してくれたんだと感じる事が出来た。
「ごめん、もっと早くわかってればもっといい物プレゼントしたかったんだけど…。」
「…そんな事…、ありがとうございます。」
「どう致しまして。」
…ダメだ、あたし。
涙腺が緩くなってるのかわからないけれど、最近のあたしは泣いてばかり。
だけどそれは、どれも嬉しい涙で。
どんなに感謝を述べても足りないけれど、あたしはもう一度、天塚さんへ
「ありがとう。」と呟いた。
その言葉に満足気に笑った彼。
しばらくして、天塚さんはあたしに目線を合わせて尋ねて来た。
「それにしても、七夕の前日が誕生日なんだね。」
「…そうなんです。でも、予定日は七夕だったみたいで…だから名前が織葉になったって、つい最近聞かされました。」
「へぇ、何だかいいね。名前にちゃんと意味が込められてて。」
「…はい。」