ばらまいてしまった段ボールの中身は、来場したお客さんから届いたstar letterだった。


「…もぉ。誰よ、こんな所に置いたの。」

と小さな愚痴を零し、あたしは座り込んで床に散らばったハガキをかき集める。




その時、ふとあたしの指先が一枚のstar letterに止まった。


…これ、



たくさんのハガキの中から、その一枚だけを取り出す。

それは、あたし宛てに書かれたstar letter。




――いつでも願う事は、一つ。


君が、幸せでありますように。





「……天塚さん、」

目の前に居ない彼に、そっと呼び掛ける。


じんわりと胸があったかくなって、あたしは少し微笑むと

残りのハガキを急いで拾い集めた。




それからレジを締め、館内を出たのは8時半過ぎ。

見上げた夜空はどんよりとした雲に覆われ、今にも泣き出しそうな真っ暗な空が広がっている。



雨が降る前に、と思い
プラネタリウムから駆け出すと

プップー、と背後から聞こえたクラクションに、あたしの足は止まった。




誘われるように振り返れば
見覚えのあるシルバーの車があたしを照らし出す。


…天塚さんだった。