「そうですーっ!いいでしょ!?」

そう言って満面の笑みを溢すおきちゃんは、まるで自分の事のようにはしゃぎ始めた。



ホームスターとは
簡単に言ってしまえば、家庭用プラネタリウム。

地球から肉眼で見られる星は、8600個。


だけどホームスターは、スイッチ一つで約6万個の星空が天井に映し出されるのだ。


いつだか無性に欲しくて
買おうかどうか悩んだ事もあった。



あたしは手に取ったそれを見つめ

「…ありがとう。」

それしか、言えなかった。



他に言いたい事はたくさんあるのに、それ以上の言葉が見つからなくて。


感動のあまり
零れそうになった涙を呑み込むと、あたしはずずっと鼻を啜っておきちゃんへ向き直す。


そして一番の疑問を彼女にぶつけた。




「でも、これ高かったんじゃない?」


そう、そうなのだ。

ホームスターは
安いモノであれば1万円以内で買えるけれど

あたしの手にあるこのホームスターはとてもじゃないけど、1万円では買えない。



あたしが買おうか悩んで
渋々諦めた理由は、そこにあった。

だからこそ、いつかお金に余裕が出来るまで…と思ってたのに。



こんな形で、しかも誕生日にもらえるなんて。