「はいっ!これ、どーぞ!」
朝、出勤するなり
おきちゃんは可愛らしいラッピングに包まれた、それを手渡して来た。
当の本人…
あたしはというと、渡されたモノがピンと来なくて
首を傾げ、無条件に聞き返す。
「何、これ。」
「何って…まさか、忘れちゃったんですか!?」
「…え?」
大袈裟に驚いたおきちゃんに
ふと目についたカレンダーに目を凝らす。
そしてようやく、思い出した。
「…あ、」
「もお、ヤダ!ボケるには早すぎますよ~、織葉さんったら!」
「あはは、ごめんっ!」
そう、言うまでもなく
今日7月6日は、あたしの25歳の誕生日。
今の今まで、自分の誕生日を忘れてるなんて
あたしはどれだけ呑気な奴なんだ。
苦笑いしつつ
「開けてもいい?」と聞くと
おきちゃんは得意気な顔で「どーぞ、どーぞ!」なんて言いながら笑った。
それに促されるように
ピンクのラッピングを解き、星柄のラッピングから出て来たのは。
「…ホーム、スター?」
丸い丸い、ホームスター。