『織葉と過ごした時間や、想ってた気持ちは嘘じゃない。』
――それだけは信じて欲しい。
陽平は真っ直ぐにあたしを見て、そう告げてくれた。
目の前がぼやける。
あたしは、ちゃんと愛されていた。
裏切られていた訳じゃなかった。
そこに、確かに愛は存在していたんだ。
それだけで
心を覆い尽くしていた暗闇は、過去を優しいモノに変えて。
気が付けば、あたしは泣いていた。
でも、それは悲しい涙じゃなかった。
それを聞いたからって
二人の関係が元に戻る訳じゃない。
もう、あたしたちはお互い別々の道を進んでいる。
決して交わる事のない、それぞれの人生を歩んでる。
あたしと陽平は
やっと、スタート地点に立ったんだ。
苦しかっただけの過去を、光に変えて。
すれ違った分の思いを、未来に向けて。
あたしたちは笑って手を振り合った。
そしてあたしの心に降っていた雨は、4年の歳月を経て
ようやく晴れ間を見せた。