……………
「…葉さん!織葉さんってば!」
「……え?」
「どうしたんですか?ぼーっとしちゃって。」
上映終わりましたよ?
そう言われ、はっと我に返ったあたしはきょろきょろと辺りを見渡す。
おきちゃんが言った通り
さっきまでお客さんで埋められていた客席は、いつの間にかもぬけの殻になっていた。
そこでやっと
あたしは今の状況を理解する。
「…ごめん、」
はぁ、と息を吐き出し
解説台を下りるとおきちゃんが心配そうな声で聞いて来た。
「…どうかしたんですか?」
「…………、」
「顔色、よくないですよ?」
「…ん、大丈夫だよ。」
「それならいいですけど……。」
そう言いつつ
おきちゃんは未だ納得出来てないように眉を下げた。
だけどあたしが引きつった笑顔で頷くと、渋々背中を向けてドームを出てゆく。
そんな彼女の後ろ姿を見送って
あたしはもう一度大きな溜め息を落とした。
そして手のひらで額を覆う。
…あたし、本当最低だ。