そんな雨に包まれた街並みを横目に、あたしは質問を投げた。
『star letter…送ってくれてたのって、天塚さん…だよね?』
そう、確認したかったのだ。
文字は彼が書いたモノに似てはいたけど、明確な確証はなかった。
だってあれは名前も住所も
ましてや年齢すら書かれてなかったし
彼じゃなければ、一体誰が送ったのか。
それが一番、気掛かりだったから。
天塚さんは一瞬だけ考える素振りを見せると、タバコを灰皿に押しつけながら逆にあたしへ尋ねて来た。
『あれって、本当に読んでたの?』
『…え?』
『いやほら、ああゆうのって大抵読まれずに捨てられるモノだと思ってたから。』
でもまさか読まれてたなんて、と
彼は照れくさそうに口元を手のひらで隠した。
そして、ゆっくりと視界が暗くなり唇に触れた温かい感触。
目を閉じる事すら出来なくて
呆然と目の前に居る彼を見上げれば、天塚さんの言葉があたしの心を揺らして。
『ずっと、織葉に気付いて欲しかった。』
俺の事、と口にした彼の唇がもう一度触れた時
あたしの胸は彼への愛しさでいっぱいになった。