あたしはバカだ。


あんな一言に揺らされるなんて。

…どうかしてる。


あたしも、アイツも。

今更、何を話したって変わらない。


過去は変えられないんだよ。




今更、どうしたい訳?


そう思ってるくせに、何で…。




「織葉さん?」

「……へ?」


ぼんやりとした意識の中で名前を呼ばれ、あたしははっと我に返った。


するとそこには、首を傾げてるおきちゃんが居て。


「どうしたんですか?ぼけっとしちゃって。」

織葉さんらしくない、とおきちゃんは続けて言った。



そしていつものように、テキパキと仕事を始める。


あたしはその後ろ姿を眺めながら「ごめん、」とだけ返した。



どのくらい時間が経ったのだろう。

気が付けば、上映を終えた少ないお客さんがドームから出て来ている所だった。


だけど、受付をした覚えはない。

無意識に仕事だけはしていたのだろうか。



もう、最低だ。