「…何これ。」
それは突然だった。
何の前触れもなく
突然、あたしの手元に届いた。
規則的に並べられた、見るからに綺麗な文字。
――笹原 織葉さま
いつも七夕に願う事は、何ですか?――
願う、事?
ていうか……、
「ラブレターってヤツじゃないですかー?」
「ひっ!」
背後から、にゅっと出て来た顔に
あたしの心臓が跳ね上がる。
バクバクと鼓動を刻む胸元を押さえ
「ちょ、おきちゃん!ビックリさせないでよ!」
覗き込む彼女から
それを咄嗟に隠してみせた。
だけど、時すでに遅し。
「だって、名指しで書いてあるなんて、それしか考えられなくないですか?」
しかもアンケートに、と
沖南(オキナ)こと、おきちゃんが付け加えて言った。
あたしは何も返す言葉が見つからなくて
渋い顔で、再びそれに視線を落とす。