そこまでを聞いて
あたしは口を挟んだ。
「やっぱり、会えないんじゃない。」
「いーや、会えるんだな。」
得意気な顔して彼方は笑う。
焦れったくて
思わず、むっとしたあたしに
彼方は空を見上げて言った。
「そんな会えない2人を見兼ねて、かささぎの群が飛んで来るんだよ。」
「かささぎの、群…?」
「そっ。」
ニッと笑う彼方に、あたしはただ続く言葉を待つ。
ふわり、と温い風が
彼方のシャツを撫でて。
「かささぎの群がさ、翼を広げて、織姫を彦星のもとへ橋渡ししてくれるんだ。」
そう呟いた彼方の瞳に、一等星が見えたような気がした。
まるで、寄り添う彦星と織姫が彼方の瞳には見えてるように。
だからあたしは、何も言えなかった。
そして、彼方の見つめる夜空を見上げると、さっきまで雲っていた空は月の光を晒し
あたしたちを柔らかく、優しく照らしていたんだ。