―――昔の事。
夜空に輝く天の川の東のほとりに、美しい天女が住んで居ました。
天女の名は織姫。
織姫は天を支配している天帝の娘で、毎日はた織りに精を出していました。
織姫が作った布は、五色に光り輝きながら、季節と共に色どりを変える不思議な錦。
父、天帝は娘の働きぶりに感心しながらも恋をする暇もなく働く娘を不憫に思い
天の川の西に住んでいる、働き者の彦星という牛飼いの青年と結婚させることにしました。
こうして織姫と彦星は幸せな生活を始めたのです。
――しかし
結婚してからの織姫は彦星に夢中で、はた織りを全くしなくなってしまいました。
天帝も始めは、結婚したばかりだから…と大目に見ていたものの、いつまでたっても織姫は、はた織りをする気配を見せません。
ついに腹を立てた天帝は、2人の所へ出向き
「織女よ、このままはたを織りをしないつもりか。このまま放っておく訳にはいかない
再び天の川の岸辺に戻ってはた織りに精を出せ。」
そう言い捨てました。