中庭のベンチに、腰を下ろす。
ギシリときしむペンキの剥げ落ちたベンチは、どうしてかそれだけでもの悲しい気分になった。
…屋上は、七澤が来る可能性があると思い、やめた。
もしまた彼に会えば、理由を問われるだろう。
しかし、それを言えばきっと彼は気にする。
あいつは少し繊細な部分があると、先ほどの――抱きしめられたとき、感じた。
それに七澤は、ああ見えて結構優しいところがあるのだ。
……負担にだけは、なりたくなかった。
私はため息をついて、膝に置いた弁当箱を包む花柄のバンダナを解いた。
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