「じゃあお前から見て俺は何に見えるよ」


少し考えて、彼女は野良猫、と答えた。

何故に野良。猫でいいじゃん猫で。


「だって人になつかなさそうだし、一人で生きていけますみたいな顔してるし」


いやそうでもないんですよ。

案外寂しがりやだったりするんですよ俺も。

そういう顔は、生まれつきっていうか何ていうかね。

「ああそれと」彼女は続ける。


「なついたら甘えてきてくれるところとか、そっくり」


ああなるほどね。

うん、確かに今俺は、餌をくれるあんたに夢中だよ。


「じゃあ甘えさせてよ」


そう言って俺はじゃれつくようにキスをせがむ。


「あんまり餌あげると付け上がるからだーめ」


ウチの子犬はそう言ってそっけなく俺をあしらう。


「また後でね」


あぁちくしょう、可愛いなぁ。

一体どっちが愛玩されてるんだかわかんないけど、多分俺達はそれで幸せ。