胸がいきなり締め付けられるような苦しさが私の中に走る

少し重くなっていた瞼は大きく開き

私は話し方を忘れた

さっきまであんなに綺麗だったものが驚きと焦りでどこがどう綺麗だったのか何もわからなくなった

恐る恐る樹の方に顔を向けると

樹は私をしっかり見ていて、それが余りに真剣で私はただ見つめ返すしか出来なかった

「奈緒のことが好きだ」

樹がもう一度言う

私の胸がもう一度締め付けられる

なぜ?

なぜ私?

なぜ予選を控えた今日の日に?

なぜ告白?

「奈緒のことずっと前から」

私のことなどお構いなしに樹が話した

「ちょっ……と待って…」

「やだ」

せっかく絞り出して、発した言葉はあっさりと却下された

樹が続ける

「奈緒は、俺ら野球部員には恋しないって言ってたけど、俺は、マネジの奈緒が好きだ
毎日大変な仕事こなして、毎日泥だらけで、毎日俺らのことばかり気にかけてくれて、毎日笑顔の奈緒が好きだ
この気持ち、伝えとかないとモヤモヤして明日の予選、集中できそうにないからさ!言っちゃった!」

樹は、お茶目に笑った

「あ!まだ答えだしちゃダメだかんね!」