たまに吹く風が少しベタつきながら、私の横を通り抜けていく

生ぬるく、決して気持ちがいいとは言えない風

でも、この雰囲気よりは全然マシだろう

さっきは笑顔で私からミサンガを受け取った樹が変だ

いつも通り、一緒に帰っているだけ

将太がいないだけ

毎週水曜日は将太がいないのは当たり前になりつつあったのに

先週は普通だったのに

もちろん先々週だって

だけど今日の樹は変だ

ずっと足下の石を蹴飛ばしながら、一言もしゃべらない

時々顔を上げるが、目が合うと急いでまた足下の石を見つめる

さっきからこれの繰り返し

樹が変だから、私もどうすればいいかわからないし、どんな話をすればいいか見当もつかない

早く歩いて家に帰りたいのに、樹がノソノソ歩くから一向に進まない

何分かしか経っていないのだろうけど、私にはひどく長く感じられた

ようやく土手を下りるところまできたとき、変な樹がようやく口を利いた

「あの…少し座ってお話でもしませんか…?」

「あ。はい。」

つられて私も変になる

そして、私たちは、少し斜面になっている芝生に腰を下ろした