最後となるかもしれない練習は、びっくりするほどいつも通りだった

練習後、キャプテンが前に出て監督に挨拶をする

「ありがとうございました!」

「っした!!!」

みんなが頭を上げると、私は一気に緊張した

部員がバラバラと散りかけたとき私は急いで彼らに声をかけた

「あのっ」

みんなが動きを止め、私を見つめる

「あのっ…迷惑かもしれないのですが……お守り…」

まだ話している途中で唸り声のような歓声が上がった

一斉に私の周りを取り囲んだ

「実は、全部同じお守りにしたかったんだけど、時間がなくて…なので、ベンチに入れなかった人は申し訳ないんだけど…ミサンガだけ…です」

「え!?俺らにもあるの??」

遠くの方からベンチに入れなかった三年生の声が聞こえた

よく見ると私の周りに来ていたのは、ベンチ入りしているレギュラーとマネージャーの後輩たちだけ。

その他大勢は自分たちに関係ない話だと思い、少し悲しそうに、帰る支度をしていた

「あ!ミサンガはちゃんと全員分あるよ!一年生や、マネジの分まで」

先ほどとは比べものにならないような大きな歓声が響いた