私からすぐに目をそらした樹が口を開いた

「…いや、何でもない」

「何?気になるじゃん!」

私が問いただそうとしたとき、生活指導の先生から整列の指示が入った

時計を見ると、もう一般生が体育館に集まる時間だった

私は緊張気味のキャプテンに一言声をかけた

「あんまり緊張しないで!大丈夫!」

「俺、しゃべるの苦手だしな…やっぱり噛みそう…」

「あんなに一緒に練習したから絶対噛まないよ!」

体育館のドアが開く音が鳴る生徒がぞろぞろと体育館にはいってきた

「じゃぁ、私は自分のとこに戻るね!マイペースにやれば大丈夫!焦りは禁物!」

私はせめて緊張がほぐれるようにとキャプテンに笑って見せた

「ありがとう。がんばるよ。」

キャプテンも笑って返してくれた

そして私は自分のクラスの列の真美の隣に並んだ

「壮行会ってなんであるんだろう?すごく面倒くさい。」

真美が言った

「確かに。でも、野球部も出ているので暖かく送り出してくださいませ。」

私が深々と頭を下げると、仕方ないのぉと真美が笑った

その時、生活指導の恐い先生のかけ声が響き生徒は一斉に話すのをやめ、壮行会が始まった