体育館にいたすべての人が樹の声で振り返る

「冗談だよ!そんなに怒らなくても…」

一瞬の静けさの後、また体育館ににぎやかさが戻った

「冗談か…は…はは」

樹がさらに赤くなりながら不自然に笑った

「当たり前でしょ!もう!じゃぁ、樹はまた後で見るからね!私は他の人のを見てくるから!」

「…はい」

私は樹から離れるとひどい格好の坊主頭が目に入った

「将太!!」

「え?俺アウトなの!?」

セーフだと思っていた将太の基準がよくわからない

「はい!上向く!!!」

「ほい」

私が将太のボタンをとめ、ネクタイをしめた

「よし!あとは、ちゃんとズボンあげてね」

私が将太を見回しながら言うと

「奈緒って母さんみたい」

と将太がズボンをあげながら言った

「将太のお母さんなんて大変そうで絶対嫌!あと、そのブレスレット、彼女と一緒のだろうけど今はポケットにね!」

「何で知ってんだ!?」

びっくりしている将太の質問に答える前に、将太に彼女がいることに驚いた部員達が将太を取り囲んでしまった

私は少しだけ笑うと、大急ぎで部員達の服装を直していった