「あ。じゃぁ…」

急に焦りだした彼女を樹は不思議そうに見送った

「よっしゃ!じゃぁ、いきますか!」

靴をはきかえ自分の鞄を持った樹がまた私の鞄と私をつかみ歩きだした

外に出るとミタニさんが声をかけたのか、いつもの樹ファンが1人も居なかった

「やっぱ、奈緒、学校にいたんだ」

将太の声がした

「うん。女子便で泣いてた」

「あらら。あ。持つよ。エースの右肩に荷物はまずいよ」

「あぁ、ありがと」

将太が私の鞄を持った

「とりあえず、土手まで歩こう。話はそれからだ」

樹がそう言うと、私たちは歩きだした

いつもの公園を通り過ぎ階段を上り、土手に着いた

「よし、奈緒、座りな」

樹が肩をポンポンと叩いて座るように合図した

将太がかけ声をかけながら腰を下ろした

私も座り込む。そして最後に樹が座った

「今日はどうしたの?」

樹が優しく問いかけた

「俺らの世話はもうウンザリとか?」

将太が少し心配そうに聞いてくる

「それはかなり困る!今日の練習マジひどかったから!!!」

樹が慌てて、話し始めた

「奈緒がいないと、あれはどこだとかあれがないとか大騒ぎ!」