彼女が出ていくと、冷ややかな目で私を見ていた人たちは、何事もなかったかのように着替えを再開した

私は涙を両手で払うと

制服をぐちゃぐちゃなまま鞄に急いでしまい、更衣室を出た

私は1階まで階段を下りると、そのままグラウンドには行かず、あまりに使われないトイレに駆け込んだ

バタンとドアを開け、奥に進む

洗面台の前に立つと私はばっと顔を上げた

目は充血し、瞼が腫れている

涙を流した跡は汚らしくくっきりと残っていた

私は蛇口をひねり、顔をバシャバシャと洗った

どうしてなのだろう

どうして私だけ、夢を追うと、文句を言われたり、冷ややかな目で見られるのだろう

野球に対する情熱も

甲子園への憧れも

彼らと同じぐらい持っているのに…

どうして違うのだろう

鞄からタオルを出して、私は顔を拭いた

また、涙が溢れる

悔しさと切なさが入り混じる

私は口にタオルを押し当て、声が聞こえないように、小さく小さくずっと泣き続けた