「そんなんじゃないって口でならなんとでも言えんのよ!あんた、山部と毎日一緒に帰ってるっていうじゃない!あんただけズルいのよ!一言しゃべれただけで泣いて喜ぶ子だっているのに!!!」

彼女が大声で怒鳴りつけた

更衣室にいた人たちがヒソヒソと話し出す

たぶん、私に対して不満を持っている人なのだろう

彼女に賛同する声がかすかに聞こえた

とうとう私は我慢していた涙をこぼしてしまった

すぐに彼女はそれに気づいた

「泣きたいのはこっちの方よ!昨日だって、帰りに校門でずっと待ってたのに、人を待たせてるからってすぐに帰っちゃったのよ!!!」

一度こぼれてしまった涙は止まるところを知らない

次から次ぎへと溢れる涙を拭いながら私は彼女に言った

「私は…私は…ただ、甲子園に…甲子園のベンチに…。ただそれだけを夢見て…」

涙で言葉が続かなかった

「とりあえず、もう山部に必要以上に近づかないで!一緒に帰ったりしないで!!!マネージャーだからって、ずるいんだから!!!」

目の前でボロボロと涙を流す私に、さすがに気まずさを感じたのか、彼女はそう言うと、足早に更衣室から去っていった