更衣室のざわめきが一瞬にして消える

誰もが着替えるのを止めてこれから起こることに注目をした

私は彼女たちと目を合わせないようにつま先を見た

一瞬、嫌な予感がしたが、きっと違うと自分に言う聞かせながら、その予感を奥に奥にと押し込んだ

「野球部マネージャーやってるのってどうせ男目当てなんでしょ?そうやって山部に近づいて、あんた卑怯よ!」

声を荒げながら彼女は言った

奥に押し込んだいやな予感は、やはり当たっていた

私は自分の目に涙がたまっていくのがわかった

こぼれないように、瞬きをしないで立っているのが精一杯だった

どうしてなのだろう?

どんなに野球部に尽くしても、

私が女子マネージャーだからというだけで、私は名前も知らない彼女に嫌われる

どんなに私が野球が好きでも

小さい頃プロ野球選手になれないと知ったとき大泣きをしても

ホントはあのユニフォームを着て、みんなと一緒にグラウンドで戦いたいと思っていても

彼女にこの思いは伝わらない

「そんなんじゃないです。」

声が震える

これ以上しゃべればきっと涙が止まらないだろう