午前中の授業はずっと、聞いていたが、身には入らなかった。

いつの間にかお昼休みになっていたらしい。

いつも通り将太が起き上がり、飯だ!と叫んでいるのを見て私もやっと気づいたのだ

お弁当箱を持って真美の所へ行った

「今日、ずっとボーっとしてたでしょ?」

「嘘!?気づいてた?」

「半笑いで遠くのほう見てたよ。先生たちみんな、変な目で奈緒のこと見てた。」

真美が笑った

私は恥ずかしくて今さら顔を隠す

そんな私を見て、真美は興味津々だった

「何、考えてにやついてたのよ?」

私は少し手をずらして真美を見た

身を乗り出して私の返答を待っていた

きっと、色恋沙汰だと思ってるのだろう

「夢を見たの。」

少しもったいぶって言ってみた

「誰の夢!?」

ほら。やっぱり。

「甲子園」

私の言葉を聞いた瞬間、キラキラしていた真美の目は表情を変え、乗り出していた体は後ろに倒れ、そのままイスに寄りかかった

「なーぁんだー」

明らかにがっかりしたような声で真美は言った

「真美ー!聞いてよー!最高の夢だったんだからー!」

今度は私が身を乗り出して真美に訴えかけた