お弁当と飲み物を鞄にしまい

行ってきますを言い終わらないうちに私は家を飛び出した

外はまだ薄暗く

人通りはほとんどなかった

私は家を出たままの勢いで家の前にある道路をそのまま突き抜けた

将太の家の前まで来たとき

珍しいことに遭遇した

「将太!!!」

将太がもう制服に着替え

自分の家の前に立っていたのだ

「おはよ」

将太が鼻の頭を掻きながら言った

「どうしたの!?」

信じられない私は、自分の目をこすりながら言った

「ちょっとな」

また鼻の頭を掻く将太

私はそれを口を開けたまま見つめた

「行こうぜ」

将太が急に歩きだした

信じられない光景だが私も将太と一緒に歩きだす

朝から将太と登校はかなり久しぶりだ

いつも将太は私が起こしに行くので将太が起きると私は次の人の家に行かなければならず、朝は一緒になったことがない

「なぁ?」

将太が話しかけた

「何?」

「俺さ…」

頭を掻いたりしてせわしなく動く将太

「奈緒のこと…今まで…女としてあんまり考えたことが…なくて…」

将太が途切れ途切れ言った