私は思わず笑ってしまった

「なんだよ…?」

恥ずかしそうに樹が言った

「私、高校生なんだから、一人で帰れるよー!」

笑いながら、樹に答えた

「そうじゃなくて」

樹は少しため息をついた

「ん?」

私が逆に聞く

樹は電話越しで少し息を吸うのがわかった

何かを言いたいらしいが言葉が見つからない

とうとう吸った息をため息として吐き出してしまった

「はぁ…」

少しの間、どちらもしゃべらなかった

ストラップをカチャカチャと音を立てながら私はイジった

全てがボールやバット、グローブなどの野球関連のストラップ

私はそれを手探りでさわりながら樹が話し始めるのを待った

「奈緒?」

樹が私を呼んだ

「何?」

「夜更かしあんますんなよ」

「樹もね。ちゃんと寝ないと疲れがとれないよ!」

「あいよ」

樹が伸びをしているのだろうか

あーっと小さく声をもらした

「よし!じゃぁ、また明日。おやすみ」

「おやすみ」

私がそう言い終えると

樹が電話を切った

私も終話ボタンをカチッと押した

待ち受け画面に戻るとメール受信と着歴の異様な数が表示されていた