家につく頃には九時を過ぎていた

「ただいま」と言うと

お母さんが適当におかえりと言った

九時になるとお母さんはドラマに夢中になるのでその他には注意がいかなくなるのだ

九時以前はいいお母さんなのだが、未だにテレビっ子と言うのが欠点だ

私はラップのかかったオカズを暖めずに食べた

今日は暖めるのすら面倒なほど疲れていた

たぶん、いや絶対、樹のせいだ

テレビがCMになるとお母さんがやっと娘を見た

「また制服のまま食べてる」

ため息混じりに言った

お母さんの小言が始まる前に、私はご飯を口いっぱいに詰めると、自分の部屋のある二階に駆け上がった

ガチャリとドアを閉めると

ベッドにバタリと倒れ込んだ

「あー」

と声を出した後、空気を吸い込み伸びをした

汗でべたついている体にスカートがペタリとくっついているのがわかった

べたつく自分の気持ち悪さに気づきベッドから起きあがる

靴下と制服を脱ぎ捨て、ほぼ下着の状態で階段を駆け降りた

お母さんが何か言っているがよく聞こえない

聞き直さずに私はお風呂場に飛び込んだ